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阿修羅のごとく
 あれは私が小学生の頃だった。NHKで向田邦子原作の阿修羅のごとくというドラマが放映され、私の両親はこのドラマを見ることをとても楽しみにしていた。番組放映日である土曜日は母は早々に夕食の片付けを済ませ家族団欒の席についた。
 当時我家にテレビは1台しかなかったから、私も弟も当然のように一緒に見ていたのだが、それはすぐに後悔と罪悪感へと変わっていった。スコットランドの楽隊が演奏する独特の曲調を持つテーマソングは、いかにもこれから起こる波乱を予告しているようであったし、家族の軋轢や人間の狡猾な部分は当時まだ子供であった私が見るべきものではないと咄嗟に悟ったからだ。ラブシーンよりも更に濃厚な大人の世界を見ているようで時に息が詰まるようであったが、それでも私はこのドラマから目を離すことが出来なかった。向田邦子さんは誰もが心に隠し持っているちょっとザラザラしたもの、心の襞に隠れている出来れば目を背けたくなるものを実に上手く摘みあげてくる。それでいて読後に苦味を残さない、言うならば人間の機微を巧みに描く作家だと思う。
 それから数年が経ち私は就職し自分のお金で向田邦子さんの小説を買った。もう誰に遠慮することもなく、私は正々堂々とこの人の作品を読むことが出来るのだとちょっと得意げな気持ちになった。大人の狡猾さに気づかぬふりを強いていた10歳の私も今では狡猾さを気づかれぬよう細工する年齢になった。

 あのテーマ曲は今もまだ耳朶に残っている。そして曲と共に、家族が暮らした狭いアパートの間取りも、若かった両親の姿も1枚の絵のようにはっきりと思い出すことが出来る。
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【2010/08/24 08:00 】
| この頃思うこと | コメント(4) | トラックバック(0) |
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コメント
すごく共感します
子供の頃、ラブシーンより見ちゃいけないものが他にありました
【2010/08/24 21:04】
| URL | クロスリバーの欠片 #-[ 編集] |
 やっぱりそうですよね。共感して下さる方がいて嬉しいです。
【2010/08/25 00:41】
| URL | buakhaau #-[ 編集] |
子供の頃の意識って、潜在的に残るものなのですね。
本が好きな白蓮さんには良い思い出となった事でしょう。
私はあまり本を読みません。先生の本も大事なところだけは読みますが、中々良い本に巡り合う事は難しいですね。その点スピーチで色々方々の情報を得られるので、その辺で知識を会得しています。
【2010/08/25 01:38】
| URL | nami #EzEikaXI[ 編集] |
 年のせいかな・・・最近家族との楽しかった日々をよく思い出します。

 本は心を耕す鍬だと先生が仰ってました。良書に触れる機会を多く持つように
心がけて生きたいと思います。
【2010/08/25 09:03】
| URL | buakhaau #-[ 編集] |
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